第二十一章 「紅蓮の一日」
AM:4:00 ━ 紅蓮、起床 ━
「ふぬぅ!!・・・今日もまた太陽に勝ってしまった。
今度は月よりも早く起きる特訓をしなければな!」
「O、OH、マスター」
「起きたか、ニンニンジャ!
・・・まぁ、俺が起動させただけなのだが。
よし、今日も太陽に向かって全力疾走だぁ!!」
「O、OK!!」
朝の4時。
まだ太陽も昇らない朝早くから、紅蓮は目覚めていた。
そして、森の中でニンニンジャと共に
朝のジョギングから始める。これが紅蓮の朝。
AM 4:04
「Zzz・・・Zzz・・・」
「O、OH、マスターッ!!GET UP!!」
「むにゃむにゃ・・・よもぎ餅ぃ・・・
あと200個追加ぁ・・・」
「マ、マスタァー」
その4分後、紅蓮、立ったまま再び就寝。
やはり早起きが いけなかったのか、
よだれを垂らしながら爆睡してしまうのであった。
AM 8:00
「い、痛てて・・・。親父から
ゲンコツをもらってしまった」
「O、OH」
「むっ!確か今日は俺の愛読本の発売日か!
よぉーし、今日は町へ下りるぞ!」
朝食の時にランニングの途中で寝たことを
叱られた紅蓮は、少し涙目になりながらも
町へ下りることに決定。向かった場所は一軒の本屋。
AM 9:00
「おぉーー!!やはり発売していたかぁ!
週刊THE・USANKUSAIっ!!」
「Greatっ!!マスター!」
「な、何!!今週は人間 対 キリン!?
特集では宇宙人の戦闘能力を丸裸だと!?
字が読めんから適当に解釈したが、
す、凄い・・・!!」
ガサッ
「ケッケッケ・・・。
坊や、おもしろい気配をしてるねぇ」
「っ!!・・・何者だ、お婆さん。
まさか、山田流派を滅ぼそうとする刺客・・・!」
「違うわよ。たんなる占い師さ。
どうだい、坊や?
この婆に占わさせてもらえないかい?」
「タ、タダか・・・?」
「以外とセコい坊やだねぇ。
まぁ、今回は特別だよ。
ほらっ、手をお出し」
週刊本を読んで熱気を高めている紅蓮に、
謎の老婆が話しかける。その老婆の指示に従い、
占ってもらうことになった紅蓮だが。
「っ!!!
こ、これはぁ・・・!」
「な、何かあったのか!?」
「え、えぇ。こりゃぁ、1000人に・・・
いや、10000人に一人かもしれぬ!!」
「な、何ぃい!!
俺はそれほどの男だったとは・・・!
持って生まれた物がすでに、常軌を逸していたとは」
「?、何言っとるんだい。
お主は まれにみる最悪の運命じゃ。
知力は最悪、運も最低、金運もドン底、
持って生まれた才能ゼロ」
「な、な、何ぃいいいーーーー!!!」
お婆さんの占いの結果、紅蓮は
まさに底なしの人生。
夢も希望ない人生だということが発覚する。
それを聞いて、ショックで石のように固まる紅蓮。
「それに もう一つ、
最悪な事実を加えておこうかね」
「な、何だ・・・。
これ以上、俺に過酷な運命を背負わせるのか?」
「気をつけな。坊やには近々、死が来るよ。
決して、逃れられない死がね・・・」
「っ!?・・・し・・・死だとぉ!?
俺が・・・し、死ぬ・・・!!」
驚愕。お婆さんの占いの結果、
紅蓮に「死」が
つきまとっていることが判明する。
紅蓮の体は震えだす。
「ケッケッケ。震えなさんな、坊やぁ。
まぁ、落ち込むのも無理は・・・」
「も、燃えて・・・燃えてきたぁああああ!!
熱い、熱すぎるぞ、俺の運命っ!」
「!?、な、何を言うとるんじゃ、お主は!!」
「そんな幾多の困難を切り抜けてこそ、
俺は真の男になれる!!」
「な、なんとまぁ・・・」
紅蓮は、まさに逆の発想。
その困難を試練と置き換え、自分が成長できるものだと
嬉しがっているのだ。その姿を見て、驚くしかない占い師。
「占ってくれて感謝する!じゃぁな、お婆さん」
「・・・ま、待っておくれ!!」
「?」
「たった・・・たった一つ。
希望を教えてあげるよ。アンタはね・・・
誰にも負けない・・・正義の心!!
頑固たる正義の心を、アンタは持っている!」
「・・・」
「子どもにして その恐ろしいぐらいの正義感。
それが、神様がおまえに下さった、
唯一の希望だよ・・・!」
「・・・あぁ、それか。それなら知ってる」
「?」
「覚えておいてくれ!!
俺は・・・俺の名は、山田 紅蓮!!
真の男を目指す男!
お婆ちゃんが言う、正義を志す者だっ!」
この時、占い師は直感する。
紅蓮は正義の心を持っているのではなく、
紅蓮自身が正義の塊なのだと。
紅蓮は何事も無かったかのように
その場から去っていく。
AM 9:30
「あっ!!紅蓮ーーーっ!!」
「む?おぉ、カスミか。どうした?
まさか・・・おまえもついに、
真の女になるために修行を!!」
「ち、違うっての!!森に行っても
アンタがいないから探したんだよぉ。
ほらっ、一緒に遊ぼう!」
「遊びって、何かの特訓か?」
「んなハズないでしょ!!
よもぎ餅おごってやるから、ついてきなさいっ!」
「ぜ、ぜひ、ついていく!!」
こうして、餌で釣られた紅蓮はカスミと遊びに行ってしまう。
これが紅蓮の一日。どこか不思議で、根性にまみれた一日。
PM 8:00
「ぐ、ぐぅ・・・!!
寝る前のスクワット5000回はキツイ。
それにしても、あのお婆ちゃんの言っていたこと・・・
本当だと思うか?ニンニンジャ」
「W、Why・・・」
「死、か。俺な、ハッキリ言って・・・
怖かった、くやしかった・・・そんな自分の運命」
「マスター」
「ニンニンジャ、俺・・・
いっぱい、人を救いたい。
それこそ、正義も悪も関係なく。
例え、この身が崩れようとも・・・
それが、俺の誇りなんだ!」
「・・・Great、マスターっ!!」
「あぁ・・・あぁ!!
そうだな、この道に迷いは無いっ!
生きてみせる・・・俺の魂が燃え尽きるまで!」
紅蓮は、夜空に向かって誓いを立てる。
死を告げられた紅蓮。果たして、その時は来るのか。
紅蓮の熱き鼓動だけが、静かな夜に似合わずに、
熱く、くすぶっているのであった。